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モズライト用コンプレッサー - あぷ

2017/10/26 (Thu) 10:05:19

ある方の依頼で試作したコンプレッサーです。元になるモデルは70年代後半にフージョン系ミュージシャンに重宝されたDan Armstrong社の「Orange Squeezer(オレンジ・スクイーザー)」です。

1980年前後に東京・湯島にあった「ザ・ミュージックストア」で販売されたベンチャーズモデルは、兄弟会社である国際綜合企画によってセミーモズレー氏から直接輸入されたものでした。当時アメリカの楽器見本市にて偶然セミーモズレー氏に出会った代表者がその場で相当数の発注をして、遅れに遅れて日本に到着したという話が伝わっています。国際綜合企画は当時「B.C.Rich」の輸入も行っていたので既知の方も多いのではないでしょうか?

オールドモズライトの品質を期待して予約していた方々にとってはあまりにオールドと乖離した品質に愕然としたようですが、それでも「アタリ」のギターはそれなりのサウンドをしていたようです。

探せばどこかにあるのですが当時の「Player」誌の広告に「購入特典にDan Armstrong のOrange Squeezer」をプレゼントするというキャンペーンがあったようで、復刻したモズライトを購入した人はそれを入手していたようです。

話が長くなりましたが、当時郷ひろみのバンマスをしていた三原綱木氏が「未完成」というシングルで郷ひろみと共にステージでそのモズライトを使用していたそうで、そのギターには偶然なのかオレンジスクイーザーがボディに取り付けられていました。

現在Youtubeでその映像が見れるようですが、そのサウンドが非常に良かったようで、その方は私に同様の装置の製作を依頼してこられました。

私も当時のオリジナル全シリーズを所有していますが、その後に販売されたレプリカはどれもオリジナルとはかけ離れていました。オリジナルもそれほど高価なパーツを使用していないのですが、なぜか音楽的なサウンドが出るのでそれに近づける努力をしました。

結果としてほぼオリジナルと同様のサウンドが得られました。私は基本的にノーエフェクトのアンプダイレクトで良い音が出る努力をしていますが、このコンプレッサーは例外でオールドモズライトと非常に相性が良く気に入っています。コンプレッサーというよりはピークだけを抑える「リミッター」のような働きをします。ギター本来のダイナミクスを損なうことなく、不揃いなアタックのみを平均化するようなサウンドになります。

別件ですが、先日の特価販売の当選者の方も含めて、現在鋭意作業をしていますので納品までいましばらくお待ちください。

Re: モズライト用コンプレッサー - あぷ

2017/12/11 (Mon) 14:49:05

3台製作した試作機とは別に1台テスト機を製作していました。根拠があいまいな流言飛語で部品価格が100倍以上に跳ね上がる現象に逆らってみたいと思ったからです。

テスト機はオレンジスクイーザーと似たコンセプトのレコーディングスタジオ機器を参考にしています。写真はレコーディングスタジオなら必ずといっていいほど目にする「Urei」の1176ピークリミッターです。Ureiは1950年後半に設立されて以降、今日にいたるまで優れたスタジオ機器を世に送り出してきたブランドです。写真は初期型の部類に入るRev.Fです。以降のモデルがレプリカを除きシルバーパネルなため、このブラックパネルは一目でビンテージとわかる品です。

このUrei1176とオレンジスクイーザーの共通点はゲインリダクション(リミッティング)を一個のFETというデバイスで処理していることです。

四半世紀以上前にこの「Urei」ブランドを扱う企業と縁が深かったため、バージョンによるサウンドの違いを早くから把握していました。数十万円する機器にもかかわらずキーデバイスはFET一個ということ、けれどもキーデバイスはさほど重要でなく周辺回路の個性があってこそのサウンドだということ、新旧の技術に関係なくコストダウン目的で仕様変更すると如実にサウンドが悪くなるということは楽器でもレコーディング機器でも共通するようです。

さてUrei1176はエレキギターのレコーディングで多用されました。スタジオ録音ではギター用のコンプレッサーはあまり使いません。S/Nが悪くなり音圧もなくなってタイトなサウンドが録れないからです。マルチレコーダーの余裕ある録音能力で本来の音をそのまま収録して、ミックスダウン時に1176等を使ってリミッティングする方法が採られます。アナログマルチなら、オーバーレベル気味に収録することで得られるテープコンプレッションも活用していました。

オレンジスクイーザーはFETとオペアンプの組み合わせですが、ビンテージの1176ではFETリミッティングの後はオペアンプを使わず、すべてクラスA・ディスクリートでライン回路を構成していました。さらに出力トランスまで介していたため、労することなく文句ナシのサウンドが得られました。「お助けマシン」とスタジオで称されるほどに重宝されてきたのです。

そこで製作中のテスト機では、オペアンプでなくディスクリートで組んだライン回路に小型の出力トランスを実装する予定です。オレンジスクイーザーではオペアンプでサウンドカラーが決定したため、いたずらに当時のオペアンプが高騰しました。部品点数は少しだけ多くなりますが、ここをディスクリート化して1176に近づければ、ステージでも往年の名サウンドを再現できるはずです。

ただケースが変わってしまってはコンセプトから外れてしまうため、同じブラックパネルを持つ「Black Pepper」のケースを使用したいと思っています。

Re: モズライト用コンプレッサー - あぷ

2017/11/29 (Wed) 11:15:06

バックオーダーのみなさま、いつもながらお待たせしてしまってすみません。

現在バックオーダーの方のピックアップ特性を調整していますが、このスレッドに関連したことがあったので書き込みします。

あるレコーディングのマイクセッティングに立ち会うことがありました。声量のある男性ボーカルの声質を活かすためのマイク選択でもめていました。

一般的にボーカル収録ではコンデンサマイクが使用されるのが常道ですが、比較の結果ダイナミックマイクが選択されました。実際は少し離してコンデンサーマイクでも拾ったのですが。

コンサートの場合はかなりの割合でダイナミックマイクが選択されます。レンジは狭いものの文字通りダイナミックでパワフルな収録が可能になるからです。

1960年代のステージには本格的なPAシステムがありませんでしたから、ギターアンプだけで会場全体をカバーしなければなりませんでした。当然出力にも限度があり、その中でより大きいサウンドを出さなければならなかったのです。

この頃のピックアップはそういう需要のために高出力タイプでなければならなかったのです。狙ったのか偶然か、真空管アンプで鳴らした際のクランチ効果がエレキギターサウンドの魅力として認識され、それは現在でも通用しています。

同じことが無線の世界にもあります。電波法で送信出力が制限されているなかで、送信出力の制限内でより聴き取りやすい音声を飛ばすために、マイク選択が重視されます。いわゆるプリアンプやコンプレッサーのようなものまで使用して常に100%変調に近づけるようにしています。

かつてAM放送のFENが他の放送局と比べて音に厚みがありました。また1990年代に急増したFM局のサウンドが在来局に比べてタイトなサウンドになっていたのは、サービスエリアを拡げる意味もありました。

話を戻してディレイやエコーのような特殊効果としてでなく生音自体が良ければプリアンプやコンプレッサーのようなエフェクターは不要のはずです。

以前24丁目バンドのベーシスト、ウィル・リーが使用していたというベースを見せてもらったことがありますが、レコーディングでミキシングコンソールにダイレクトに接続して、コンソール側でなにもしなくてもそれだけでパーフェクトなサウンドになって驚いたことがあります。

ピックアップ調整でかなりのレベルまでサウンドを追い込むことはできますが、どうしてもピッキングが強い人と弱い人すべてに対応させるのは難しいです。そのためにこのようなリミッターがあると良いのではないかと思っています。

画像は今から5年ほど前に米国で復刻されていたレプリカのケースです。サウンドは似ても似つかないものでしたが、ケースを一から作ることを考えれば安いと思い数個入手したものです。今回依頼された方にはこのケースに入れて納品しました。試作型の2台も調整してこのケースに入れてお譲りしようと思います。

Re: モズライト用コンプレッサー - あぷ

2017/11/21 (Tue) 15:02:03

無事モズライトに最適化されたコンプレッサー(リミッター)の納品が完了しました。最近の投稿ですが、納品までじつに2年を要しました。すべてに時間がかかりすぎてオーダーされた皆さんには申し訳なく思っています。

写真はオレンジ・スクイーザーの米国ミュートロン製のPCBボードです。ご覧のとおりスペシャルなパーツはほとんど使われていません。ただFETとオペアンプがオリジナルサウンドに影響しているようです。

品番だけなら現在でも入手可能ですが、この頃とはスペックが違うようで同じサウンドになりません。特にオペアンプはMAXONのTS-808の初期型で採用されているロットと同じタイプです。このためこの時期のロットは海外市場でも買い荒らされてまったく在庫がない状態です。

30年ほど前、まだこれほど大騒ぎになっていない頃に個人使用なら十分な量を購入していたため、まったく同じ物を作ることができました。ただこのデバイスは相当クセがあって、とても現在でいうところの高品位なオーディオ用とはいえないスペックです。周囲に使用しているパーツでかなり調整して「あの音」を出しているということがわかります。

結論からいうと入手困難で当時の100倍近い値がついた部品はただ交換すれば良いというものではなく、周辺回路があったからこそのもので「交換しただけで良い音になる」というのは間違いだということです。

これはオールドモズライト関連にもいえたことで、当時のパーツが異常な価格高騰になっているのはナンセンスなことだと思います。

最終的にはデッドストックながら比較的安価なデバイスを採用して、聴感上はオリジナルと限りなく近いサウンドにするとともにノイズ低減化を実現しました。

エフェクターにしてもエレキギターにしても、ただある部品を交換するだけで良くなるというものではなく、製品総体としてバランスを取らないと希望する結果にはならないのだと思います。

Re: Re: モズライト用コンプレッサー - 良

2017/11/01 (Wed) 11:34:13

いや~貴重な動画ですね!
ブルコメは今でも大好きなバンドです
当時譜面を初見で演奏できるブルコメは
色んな歌手のバックをやっていたそうです
単なるGSではなく全員が実力派のミュージシャン
ですね^_^
余談ですが当時はレコード会社に所属していないと
レコードが出せなかったそうです、ただし英語だと
関係ないのでブルコメの最初のレコードは英語で
歌っていたそうです
こんな話は
コンプレッサーと関係ないですね(笑)
コンプレッサーはボスの1番最初に出したやつを
〔型番忘れました〕
使った事がありますが変に音が圧縮されて
最初にプツっていうアタック音が出るので
直ぐに使わなくなりました
私のイメージとしてコンプレッサーは
ピッキングニュアンスの邪魔だという認識でした

Re: モズライト用コンプレッサー - あぷ

2017/11/01 (Wed) 01:25:04

動画サイトの問い合わせがあったので直リンクしておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=a-R3jCKNECU

サウンドもさることながらメロディラインに合わせて入れるリフが秀逸ですね。

Re: モズライト用コンプレッサー - あぷ

2017/10/27 (Fri) 09:53:40

戸塚さん、こんにちは。ご投稿ありがとうございます。

CP-2ですか?CP1Xでしょうか?またはCS2かもしれませんね。私もBossのコンプレッサーは一通り使用しましたが、CS1からCS3にかけてはなかなか良い進化を続けていました。

海外のエフェクターの広告代理をしていた際は、そのメーカーの豊富なラインナップをすべてチェックしていましたが、コンプレッサーに関してはBossのものはさりとてはのキャラクターがありました。

以前おすすめしたAPHEXのPunch Factoryはあまりよくなかったでしょうか?光学素子を使用しているので、あまり他にない効果があったかと思いますが…。

そもそも以前の私は20Uのキャスター付きラックにエフェクターを実装して演奏していました。あるとき生音が良く鳴るギターにいまは他界されたあるピックアップ職人が作ったピックアップを取り付けてアンプダイレクトで鳴らした時にショックを受けました。それがいままで聴いた中でも一番良い音だったからです。

それ以降は現在のようにエフェクターに頼らないギターチューンに力をいれるようになりました。実際レコーディングスタジオで使用される機器でさえ、使い過ぎは原音を損なうことになります。

さてこのエフェクターですが、気になる方がおられるならば、それなりの体裁を整えてご提供することも考えさせていただきます。こういう試作をする時は、必ず3機同じ物を作っています。修理代替えや改修前後のサウンドチェックをするためです。ですので2台だけなら割と近いうちにお譲りすることはできようかと思います。

それから写真はYoutubeからキャプチャしたものです。肖像権等で支障があればご指摘ください。三原氏のモズライトのヘッドにベンチャーズモデルのロゴはなく、ボディーの真新しさからみてオールドではなく件の復刻版と断定していいでしょう。

たしかにOrange Squeezerがささっていて、いかにもそれらしいサウンドになっていますね。これが他のコンプレッサーだと全体のダイナミクスが失われてこういうクリアなサウンドにはなりません。

ただしOrange Squeezerを使用する際に注意しなければならないことがあります。出力の小さいピックアップでは効果がないということです。さらに本機はピークを抑えるだけの機能なので生音で良い音のしないピックアップも効果がありません。やはりオリジナルのモズライトピックアップのように出力のあるピックアップにこそ効果がある機器と言えます。

Re: モズライト用コンプレッサー - 戸塚

2017/10/27 (Fri) 06:31:18

この記事の内容はジャストミートでしたのでコメントを入れさせて戴きました。

今、コンプレッサーに関心があり、BossのCP-2を中古購入して使っています。
以前、オレンジ・スクイーザーを使用させて戴いた事があるのですが、使い方も知らず、その良さを知らないままでいるのです・・・

今回試作されたコンプレッサーは、近く販売される予定なのでしょうか?
とても興味があるので、いつ頃販売されるのか教えてくださると嬉しいです。

Re: モズライト用コンプレッサー - あぷ

2017/10/26 (Thu) 15:44:20

当時の復刻版の品質が芳しくなかった理由が海外のギター雑誌や文献を見ると推察することができます。

「ザ・ミュージックストア」の姉妹店である米国「ハリウッド・ミュージックストア」から大量注文を受注したセミーモズレー氏は受け取った前金を元に生産に乗り出しますが、その過程で1965年までモズライト社に在籍していたBill Gruggett氏を招きます。

しかし実際の生産に入る前に彼は何もせずにベーカーズフィールドに戻ってしまいます。理由は諸説ありますが、彼の生産技術を製品に活かせなかったことが、復刻版の品質に大きく影響したというのは間違いないようです。

三原氏が使用していた復刻版はその中でも良い状態のものだったと想像されますが、三原氏のエフェクターの取扱いは秀逸で、Youtubeで聴いただけでも復刻版の評価とは正反対の美しいサウンドになっています。

さて写真のコンプレッサーは試作機のため、現在では異なるアッセンブリになっています。正しい回路を組んでもそこに使用する部品一つで結果は大きく異なります。近いうちに完成版の画像もご紹介したいと思っています。

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